MMT(徒手筋力テスト)試験に出る代償運動<まとめ>

MMT(徒手筋力検査法)で、よく試験に出る
代償運動についてまとめています。

MMTでの「動き」、そのときに
作用する「主動作筋」、
代償運動が起こる際に「影響する筋」、
代償運動の解説を順に表にしています。

主動作筋の詳細については、リンクするように
していますので参考にしてみてください。

特に、★のついているものは、要注意ですよ。

動き 主動作筋 影響する筋など 解説
頸椎の屈曲
複合屈曲
胸鎖乳突筋 広頸筋  皮筋である広頸筋の代償。
骨盤の挙上 腰方形筋 腹筋(外腹斜筋、内腹斜筋 腹筋を使って体幹を側方に屈曲して代償。

脊柱起立筋だけを使おうとすることもある。

腹式呼吸 横隔膜 腰椎を過伸展 MMTでは、腹部を圧迫させて検査するため、代償として腰椎の過伸展がある。
肩の挙上 僧帽筋上部、
肩甲挙筋
菱形筋 菱形筋の作用として、極端に肩甲骨下角が内側に動く(下方回旋する)
肩甲骨の内転 僧帽筋中部 菱形筋

三角筋後部線維

肩甲骨が内転・下方回旋する。

三角筋後部線維が代用すると、肩関節の水平外転は生じるが、肩甲骨の内転は生じない。

肩甲骨内転と下方回旋 菱形筋 僧帽筋(中部線維) 僧帽筋の中部線維が働くと肩甲骨の内転は生じるが、下方回旋は生じない。
肩関節屈曲(★) 三角筋前部
烏口腕筋
上腕二頭筋

僧帽筋上部

大胸筋

④姿勢

上腕二頭筋肩関節を外旋が生じる。

僧帽筋上部:肩甲帯の挙上が生じる。

大胸筋:水平内転が生じる。

④姿勢の利用:体幹を後方に反らせる。

肩関節外転(★) 三角筋中部
棘上筋
①姿勢

上腕二頭筋

①体幹を反対側に傾ける代償。

肩関節を外旋し肘関節を屈曲しての上腕二頭筋による代償。

肩関節の水平外転 三角筋後部  ①菱形筋が弱い

上腕三頭筋

 肩甲骨の固定筋(菱形筋など)が弱い場合は、三角筋に引かれて肩甲骨が外転しないように固定する必要がある。

上腕三頭筋による代償を防ぐためには、肘関節を屈曲したまま実施する。

 肩関節の水平内転 大胸筋  肘屈筋が弱い  肘屈筋が弱い場合は、肘の直上近位のところで前腕に抵抗をかける。
肩の内旋 肩甲下筋  円回内筋  段階2(腹臥位で肘を伸ばして行う)のテストでは、円回内筋の代償に気をつける。
 肘関節の屈曲 上腕二頭筋、
上腕筋
腕橈骨筋
 手関節屈筋群
円回内筋、橈側手根屈筋、長掌筋浅指屈筋尺側手根屈筋
 内側上顆から起こる手関節屈筋群は、肘の屈曲にも作用可能。
 肘伸展 上腕三頭筋  ①肩の外旋筋棘下筋小円筋)と重力

大胸筋(CKC閉鎖運動連鎖の利用)

 水平伸展させる段階2、1、0のテストで、

①肩の外旋筋(棘下筋小円筋)を使って外旋させて重力を使って代償

大胸筋による肩の内転作用による代償。

前腕回外 回外筋上腕二頭筋 肩関節の外旋筋と内転筋

②手関節の伸筋

段階2で、

肩関節を外旋かつ内転して重力を使って代償する。

②手根伸筋(長・短橈側手根伸筋、長母指外転筋長母指伸筋)による代償も可能なため、MMTでは手関節と指はできるだけ弛緩させておく。

前腕回内(★) 円回内筋、方形回内筋 肩関節の内旋筋(肩甲下筋)と外転筋(三角筋

②橈側手根屈筋

肩関節を内旋または外転させて重力を使って代償。

②橈側手根屈筋による代償を防ぐために手関節の力を抜いて実施する。

手関節の伸展 長橈側手根伸筋
短橈側手根伸筋
尺側手根伸筋
指伸筋 指の力をぬいて実施する。
 手指MP関節屈曲 虫様筋、骨間筋  

深指屈筋の代償で、DIPの屈曲が生じる

浅指屈筋の代償で、PIPの屈曲が生じる

MMTの際は、DIPやPIP関節は完全に伸展して実施する。

 手指PIP屈曲 浅指屈筋 深指屈筋による代償を防ぐためDIP屈曲をさせないように実施する。

②手関節の背屈によるテノデーシス(腱固定作用)

 手指DIP屈曲 深指屈筋   手関節の背屈で代償することがある(テノデーシス:腱固定作用)
 指の内転 掌側骨間筋  深指屈筋  深指屈筋による指の屈曲がおこらないようにする。
 母指IP関節の伸展 長母指伸筋  テノデーシス(腱固定作用)  短母指外転筋短母指屈筋母指内転筋は、CM関節を屈曲することによりIP関節を伸展できる
母指の外転 長母指外転筋 短母指伸筋 牽引の方向が前腕の背側面に向かうときには、(短母指伸筋による)代償動作が起こっている。
母指の掌側外転 短母指屈筋 長母指外転筋 長母指外転筋が代償する場合は掌側外転せずに橈側外転する。
母指内転 母指内転筋 長母指屈筋短母指屈筋長母指伸筋
母指の対立 母指対立筋 長母指屈筋短母指屈筋短母指外転筋
股関節の屈曲(★) 腸腰筋 縫工筋股関節の外旋と外転が生じる)

大腿筋膜張筋股関節の内旋と外転が生じる)

股関節の屈曲・外転・外旋 縫工筋 腸腰筋、大腿直筋 純粋な股関節屈曲が起こり、外転や外旋は起こらない。
股関節の外転(★★) 中殿筋
小殿筋
腰方形筋での骨盤の引き上げによる代償

股関節外旋位での腸腰筋による代償

股関節屈曲位での大腿筋膜張筋による代償

 股関節内転 股関節内転筋群  股関節を内旋させて股関節屈筋群(腸腰筋)で代償

骨盤を前方に傾け、股関節を外旋させて膝屈筋(ハムストリングス)による代償

 坐位での股関節外旋 股関節外旋筋群  体幹を傾けての代償重力を使った代償
 坐位での股関節内旋 股関節内旋筋群(小殿筋の前部、中殿筋の前部、大腿筋膜張筋  骨盤を挙上しての姿勢による代償
膝関節の屈曲 ハムストリングス大腿二頭筋半腱様筋半膜様筋 股関節屈筋(腸腰筋

縫工筋

薄筋

腓腹筋(腱固定作用)

二関節筋による代償作用。
側臥位での膝伸展 大腿四頭筋 股関節内旋筋(小殿筋前部、大腿筋膜張筋中殿筋前部)で重力を利用
腹臥位でのヒラメ筋のテスト ヒラメ筋 長母趾屈筋の代償では前足部の底屈が起こる。

長腓骨筋および短腓骨筋による代償では底屈・外がえしが起こる。

脛骨筋・長腓骨筋短腓骨筋では前足部の底屈が起こる。

足関節の背屈・内がえし(★) 前脛骨筋 長趾伸筋
長母趾伸筋
足趾の伸展方向への動きがみられる。
足関節の底屈・内がえし 後脛骨筋 長趾屈筋、
長母趾屈筋
足趾の屈曲方向への動きがみられる。

 

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