肘関節
Elbow joint
腕尺関節,腕橈関節,上橈尺関節(近位橈尺関節)が共通(一つ)の関節包に包まれる複関節compound jointです。
腕尺関節
humeroulnar joint
上腕骨滑車trochlea of humerusと尺骨上端の滑車切痕trochlear notchとのラセン関節spiral joint.
肘関節の屈曲と伸展が可能.
上腕骨滑車は,外側部よりも内側部が大きいため,その運動軸は外側に傾く.
この傾斜角度を運搬角(肘角carryng angle)と呼ぶ.
X線を使ったB. KUMARらの研究では,男性17.023±1.93°,女性17.77±2.13°であり女性が若干大きい.
▲肘関節の完全伸展位では上腕骨の内側上顆,外側上顆,尺骨の肘頭が一直線上(ヒューター線Hueter line),屈曲時には肘頭を頂点とした二等辺三角形(ヒューター三角Hueter triangle)となり肘関節脱臼の指標とされる.
腕橈関節
humeroradial joint
上腕骨小頭capitulum of humerusと橈骨上端の橈骨頭head of radiusとの球関節ball-and-socket joint.
橈骨頭の動きは輪状靱帯annular ligamentで制限され機能上は平面関節.
上橈尺関節(=近位橈尺関節)
proximal radioulnar joint
橈骨頭の関節環状面articular circumferenceと尺骨の橈骨切痕radial notchとの車軸関節pivot joint(⇒ [3] 橈骨と尺骨の連結).
肘関節の関節包
鈎突窩coronoid fossa(上腕骨滑車の前上方),橈骨窩radial fossa(上腕骨小頭の前上方),肘頭窩olecranon fossa(上腕骨滑車の後上方)の上までを包み,橈骨頸と尺骨の滑車切痕trochlear notchの周辺に付く.
内側上顆,外側上顆は包まない.
関節包の前面や後面の線維は長くゆるいが,肘関節の屈曲の際は関節包前面に付く上腕筋の筋束,伸展する際は関節包後面に付く上腕三頭筋の筋束が働き関節包が関節に挟み込まれるのを防ぐ.