目次
下腿の伸筋群について
前面(足部の背面)にある前脛骨筋、長趾伸筋、第3腓骨筋、長母趾伸筋で,主に足関節の背屈(伸展)に作用します。
全て深腓骨神経支配です。(動画リンクあります。)
深腓骨神経が障害されると、足関節の伸筋群が麻痺するため下垂足となり、歩行時には特徴的な歩行(鶏歩)を呈します。
1.前脛骨筋
tibialis anterior;TA
下腿(前外側)の表層にある足関節背屈の主動作筋.
脛骨前縁の外側に沿って下る.
起始 | ・脛骨の外側顆,近位外側2/3 ・下腿骨間膜の上方2/3の前面 ・下腿筋膜,筋間中隔 下腿下方1/3で腱となり上伸筋支帯,下伸筋支帯の下を通り |
停止 | 足底内側縁で ・内側楔状骨 ・第1中足骨底 |
作用 | ・足関節の背屈,内がえし ▲腓骨神経麻痺などにより前脛骨筋が麻痺すると下垂足となり鶏歩が生じる. |
髄節 | L4,5,S1 |
神経 | 深腓骨神経 |
2.長趾伸筋
extensor digitorum longus
上部で前脛骨筋と腱膜性に癒着する.
起始は前脛骨筋の外側で長腓骨筋の内側に一部被われる.
起始 | ・脛骨外側顆から腓骨の上3/4の内側面 ・下腿骨間膜の近位前面,筋間中隔に隣接した部分 上伸筋支帯,下伸筋支帯の下を通り、4腱に分かれ、第2~5趾の趾背腱膜に移り,各腱から3本(中央索1本,側索2本)に分かれる |
停止 | ・中央索1本が中節骨底 ・側索2本が末節骨底 |
作用 | ・第2~5趾のMP,PIP,DIP関節伸展 ・足関節の背屈,外がえし |
髄節 | L4,5,S1 |
神経 | 深腓骨神経 |
3.第三腓骨筋
peroneus tertius(fibularis tertius )
長趾伸筋の下外側部から分かれた筋.(多くは欠ける)
起始 | ・長趾伸筋の遠位の起始部(腓骨の遠位内側前面) 上伸筋支帯と下伸筋支帯の下を通り |
停止 | ・第5中足骨底の背側 |
作用 | ・足関節の背屈,外がえし補助 |
髄節 | L4,5,S1 |
神経 | 深腓骨神経 |
4.長母趾伸筋
extensor hallucis longus(EHL)
起始は前脛骨筋,長趾伸筋に被わる.
起始 | ・下腿骨間膜 ・腓骨の内側縁(骨間縁) 下腿中央2/4※から半羽状筋となって起こる.下腿遠位部で前脛骨筋と長趾伸筋の腱の間を表層に出て下り、上伸筋支帯,下伸筋支帯の下を通り母趾の趾背腱膜に移る |
停止 | ・母趾末節骨底 |
作用 | ・母趾のMP,IP関節伸展 ・足関節の背屈,内がえし |
髄節 | L4,5,S1 |
神経 | 深腓骨神経 |
※「骨の中央2/4」とは?
骨を4等分して中央の2つの範囲をいう.
同様に上方2/3は3等分した場合の上方の2つの範囲を言います.