縫工筋、大腿四頭筋、膝関節筋について(起始・停止・作用・神経)

 大腿前面にある大腿の伸筋群についての解説です。
大腿の伸筋群は、主に膝関節の伸展に作用し、全て大腿神経から支配されています。

 

1.縫工筋(動画リンク)
sartorius

人体で最も長い。股関節膝関節へ作用する二関節筋

起始 上前腸骨棘の下部
下内側に向かう
停止 大腿骨内側上顆の後方を回り込んで脛骨粗面の内側の
・鵞足部
作用 股関節の屈曲,外転,外旋
膝関節の屈曲
(・下腿内旋)
髄節 L2,3
神経 大腿神経

2.大腿四頭筋(動画リンク)
quadriceps femoris

大腿前面を広く被う膝伸展の主動作筋.

大腿直筋,内側広筋,中間広筋,外側広筋の総称.

4筋は共同腱(大腿四頭筋腱quadriceps tendon)となり膝蓋骨を経由し膝蓋腱(patellar tendon)となり脛骨粗面に付く.

①大腿直筋
rectus femoris

浅層は羽状筋,深層は平行な走行をする大腿前面中央の筋.(二関節筋
起始 ・下前腸骨棘AIIS
寛骨臼上縁
・腸骨大腿靱帯24)
小殿筋腱24)
股関節の関節包
大腿中央を下る
停止 共同腱の表層上部に移行し脛骨粗面
作用 膝関節の伸展
股関節の屈曲,外旋,外転
・骨盤前傾
▲短縮すると,Elyテストが陽性となる.
髄節 L2,3,4
神経 大腿神経

②内側広筋
vastus medialis

下方の線維は内側広筋の斜頭vastus medialis obliquus (VMO)という.
起始 大腿骨の粗線の内側唇(長内転筋の付着部より内側)
恥骨筋長内転筋大内転筋は内側広筋表面の起始腱膜と癒着(筋連結).
停止 上前方に回り込み転子間線の下部から中間広筋を被って癒合しながら共同腱の内側上部に移行し

脛骨粗面

作用 膝関節の伸展(特に最終域)
膝蓋骨を内側に引き安定させ,下腿の内旋に関与する
髄節 L2,3,4
神経 大腿神経

③中間広筋
vastus intermedius

他の筋より腱成分が少ない.
起始 大腿直筋に被われ
大腿骨体の上2/3の前面と外側面
停止 膝蓋骨を経由し膝蓋腱となって

脛骨粗面

作用 膝関節の伸展
髄節 L2,3,4
神経 大腿神経

膝関節筋
articularis genus

起始 中間広筋から分かれ
大腿骨体の前面下部
停止 膝蓋上包※
作用 ・膝蓋上包を上方に引き膝の随意伸展時に関節包の挟み込みを防ぐ
髄節 L2,3,4
神経 大腿神経

 

④外側広筋
vastus lateralis

腸脛靱帯に被われ斜走線維も起こる.
起始 ・大転子の外側面
・粗線の外側唇の上方1/2
・腸脛靱帯の裏面
停止 共同腱の外側部に移行し

脛骨粗面
・外側膝蓋支帯

作用 膝関節の伸展
髄節 L2,3,4
神経 大腿神経
目次

膝蓋上包suprapatellar bursa

大腿四頭筋腱と大腿骨の間にあり,関節腔と広く交通する滑液包.

膝の術後に癒着すると膝関節の屈曲制限(拘縮)が生じるため,四頭筋セッティングなどによる術後早期の対策が重要となる.

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