ハムストリングスの膝伸展作用とは?理由とメカニズムを解説!

膝関節の屈曲に作用する主動作筋であるハムストリングスですが、タイトルの通り膝関節の伸展作用があります。

どういうこと?

って思われるかもしれませんが、スポーツトレーナーの方などにとっては、経験上、至極当たり前のことだと思います・・・

普通ハムストリングスを作用させると膝関節は屈曲すると教科書には書いてあります(はい!)。

言い忘れましたが、以下に書かれてある内容は、少し専門的な内容となります。筋骨格系に関する解剖学や運動学の知識が必要です^^;

主に医療関係の学生さん向けに書いていますので、臨床経験のある方には少し簡単な内容かもしれません。

一般の方でも、興味のある方は御覧ください^^

目次

ハムストリングスについて

ハムストリングスとは、大腿後面にある3つの筋の総称です。

3つの筋とは、外側にある大腿二頭筋、内側にある半腱様筋半膜様筋のことです。

外側の筋のことを一般に外側ハムストリング、内側の筋を内側ハムストリングスとも言います。

1.大腿二頭筋(biceps femoris)

大腿後外側にある.長頭は二関節筋、短頭は単関節筋

起始長頭:半腱様筋とともに仙結節靱帯の付着部付近の
・坐骨結節
短頭:大腿骨
・粗線(外側唇)の下部
停止2頭は癒合して腱となり膝窩の外側を下り、膝関節の外側側副靱帯の後方で
腓骨
作用膝関節の屈曲(長頭・短頭の作用)
股関節の伸展(長頭のみ)
・下腿の外旋(長頭・短頭の作用)
股関節の外旋(長頭のみ)
股関節の内転(長頭のみ)
髄節L5,S1,2,3(長頭)
L5,S1,2(短頭)
神経長頭:坐骨神経の脛骨神経部
短頭:坐骨神経の腓骨神経部

2.半腱様筋(semitendinosus)

大腿の後内側にある細長い筋.

起始 ・坐骨結節
大腿二頭筋長頭の起始の内側で仙結節靱帯の付着付近
停止 脛骨粗面の内側(薄筋の停止部の後下方)に広がり
・鵞足部
作用 膝関節の屈曲
股関節の伸展
・下腿の内旋
股関節の内旋
髄節 L4,5,S1,2
神経 坐骨神経の脛骨神経部

3.半膜様筋(semimembranosus)

大腿の後内側にある細長い筋.膝窩の内側で半腱様筋腱の下内側で触知.
起始 ・坐骨結節
半腱様筋の深層で大腿二頭筋半腱様筋の付着部よりも近位外側
停止 脛骨の内側顆の後方に広く
・斜膝窩靱帯
膝窩筋筋膜
・膝後方の関節包
・内側半月(板)
作用 膝関節の屈曲
股関節の伸展
・下腿の内旋
股関節の内旋
・内側半月を後方へ引き,挟み込みを防ぐ
髄節 L4,5,S1,2
神経 坐骨神経の脛骨神経部

上記の内容は、解剖学の一般的な説明です。

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ハムストリングスの膝関節伸展作用について

膝関節を伸展させる主動作筋は、大腿四頭筋です。

なんですが・・

メカニズム

上記のように、足が地面についたCKC(閉鎖運動連鎖)状態の場合には、ハムストリングスが収縮すると脛骨腓骨が後方に引かれるため膝関節が伸展してしまいます。

膝関節を屈曲させようとしても、足が地面についていて動かないために、このような作用となります。

膝関節伸展の具体例(確認方法)

具体的な例を示すと・・

例)階段を昇る際や椅子から立ち上がる際に、大腿後面を触診しておくとハムストリングスの収縮を確認することができます。

階段を昇る際には、股関節も伸展するため二関節筋であるハムストリングス股関節伸展作用と考えることもできますが、階段を昇る際には、股関節の伸展方向への作用と同時に膝関節の伸展も生じます。

厳密に言うと、膝関節だけへの伸展作用ではありませんが、股関節伸展の主動作筋は大殿筋ですので、ハムストリングスの作用は、やはり膝関節の伸展のためにも生じていると考えることができます。

例)陸上の短距離、サッカーなど走る競技の中でもハムストリングスは非常に重要な役割を果たしています。

↑の写真ではハムストリングスの収縮が確認できます。

大腿四頭筋との同時収縮が生じていますが、この後、膝関節は徐々に伸展する方向へ向かいます。

運動学的に見ても色々と考えさせられますね~!

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