大腿直筋(だいたいちょくきん)の作用についてのまとめです!
大腿直筋の起始、停止、作用、支配神経、髄節についてもまとめています。
二関節筋である大腿直筋は、臨床上重要な筋の一つです。
この筋が短縮すると
膝関節や股関節だけでなく、骨盤への影響も
出てくるため腰痛とも関係があると言われています。
大腿直筋について
英語では、rectus femorisと言います。
大腿四頭筋の中に含まれます。
大腿直筋の形状分類
表層の筋線維は、羽状構造、
下前腸骨棘からの筋線維は半羽状構造
臼蓋上縁からの筋線維は、停止部からの筋線維
と平行な構造を示す報告がなされています。
大腿直筋の起始部
起始部は、筋が起こる場所です。
大腿直筋の起こる場所は、
おもに上記の2つですが、下からも起こります。
走行は?
起始部から停止部までの間をどのように進むのかが走行と言います!
大腿直筋の場合、大腿部の中央を下って行きます。
大腿直筋の停止部
停止部は、筋が最終的に停止する場所です。
停止する場所は、通常は骨ですが、皮膚に停止する筋(皮筋)もあります。
大腿直筋の停止部は、脛骨粗面です。
脛骨粗面に停止する前に、大腿四頭筋に
含まれる筋(内側広筋、外側広筋、中間広筋)などと
共同の腱となります。
大腿直筋の作用
股関節をまたいでいる部分が起始部となっている
ため股関節への作用があります。
また、
膝関節をまたいだ部分(脛骨粗面)に停止する
ため、膝関節への作用があります。
骨盤の前傾に作用する理由としては、
起始部が骨盤に付着しているためです。
起始部(下前腸骨棘、寛骨臼の上縁)が
引っ張られると骨盤の前上方部分が
下方に引っ張られことで骨盤の前傾が生じます。
股関節に対する作用
股関節の外旋と外転の作用がなぜ生じるか
については、分かりにくいかもしれませんが、
起始部と停止部を確認すると分かります。
起始部(下前腸骨棘と寛骨臼の上縁)から
停止部(脛骨粗面)に結んだ線は、
股関節の内転外転の運動軸よりも外側を通ります。
そのため、外転作用が生じます。
股関節の外旋作用についても同じように考えると分かると思います。
膝関節に対する作用
- 膝関節の伸展
骨盤に対する作用
- 骨盤の前傾
臨床上の重要な作用
大腿直筋の短縮は、臨床上で比較的多く見られます。
短縮した筋の周辺は、固くなって圧痛が生じることがほとんどです。
短縮した側の骨盤は前傾したり、走る際の
ストライドに影響が出てきたりします。
大腿直筋を適正な長さにストレッチして
筋出力に左右差が出ないように調整することで
運動パフォーマンスが向上する傾向にあります。
Elyテスト
大腿直筋が短縮すると陽性となるテストです。
<実施方法>
検査肢位:腹臥位
検査方法:検査する側の膝関節のゆっくりと
中間位(殿部の方向)で他動的に屈曲して行きます。
陽性の場合は、膝関節を屈曲させて行くに
つれて骨盤が浮き上がってきます(尻上がり現象)。
骨盤の持ち上がり方は、反対方向へねじれるようになります。
左右差を比較すると分かりやすく、
短縮が少ない場合でも見つけることができます。
支配神経と髄節
大腿神経支配です。
髄節は、L2、3、4です。
参考文献(1~10)
この解剖学の記事を書く上で参考にした主な文献です。
主な参考文献を合わせると、40冊ほどになります。
その中でも、特に活用した文献10冊についてご紹介します。
1)森 於菟 ほか:分担 解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学(改定第11版).金原出版,1982
2)ヘルガ・フリッツ (著), ヴェルナー・プラッツァー (著):解剖学アトラス原著第10版.文光堂,2012
3)金子 丑之助:日本人体解剖学 (上巻).南山堂; 改訂19版 (1999/12/1)
4)Oatis CA:Kinesiology.Lippincotto Williams & Wilkins,2009
原著(英語版)を使用しましたが、翻訳版が出ています。
英語が苦手な方は、翻訳版がおすすめです。
原著(英語版)の英語は、分かりやすく書かれています
ので挑戦したい方は、こちらがおすすめです。
価格も翻訳版よりも安いですよ。
私が参考にした洋書は、第2版でしたが
第3版が出版されていますので、最新版がおすすめです。
Kinesiology: The Mechanics and Pathomechanics of Human Movement by Carol A Oatis PT PhD(2016-02-13)
5)Donald A.Neumann:筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版 単行本(ソフトカバー) – 2018/12/28
こちらも運動学では定番の教科書です。
私が参考にしたのは、英語版ですが、日本語翻訳版が
出版されています。
6)Keith L Moore:Clinically Oriented Anatomy ,Lippincott Williams & Wilkins;4 edition,1999
こちらも翻訳版が出ています。
世界的な名著なのでおすすめです。
英語ができる方は、洋書の方がおすすめです。
価格は、翻訳版の半分ほどで、しかも最新版すので。
7)Florence Peterson Kendall, Elizabeth Kendall McCreary, Patricia Geise Provance, Mary McIntyre Rodgers, William Anthony Romani:Muscles: Testing and Function, with Posture and Pain,Lippincott Williams & Wilkins; Fifth Edition edition (February 1, 2005)
こちらの本も運動学の名著です。
日本語版が出ていますのでご紹介します。
英語での原書はこちらです。
8)橋本 淳・信原克哉:肩診療マニュアル 第3版.医歯薬出版,2008.1
最新版が出ていますので、そちらを紹介します。
肩に関しては、おすすめの本です。
9)J. Castaing 他/中山彰一 ・井原和彦(訳):図解 関節・運動器の機能解剖 下肢編.協同医書出版,1986
変わった視点から分かりやすいイラストを用いて解説してあります。
運動器の学習をする際には、一度目を通されることをおすすめします。
10)Gray’s Anatomy for Students: With STUDENT CONSULT Online Access, 3e
この本も翻訳されていますので、最新版を掲載します。
英語でも、読みやすい本です。