上腕二頭筋、烏口腕筋、上腕筋、上腕三頭筋、肘筋について(起始・停止・作用・支配神経)

 biceps brachii、coracobrachialis、brachialis、triceps brachii、anconeus の筋についてまとめています。
これらの筋は、上腕の筋になります。
上腕の筋は、肘関節を屈曲する屈筋群,伸展する伸筋群にからなり、両筋群は筋膜(内側上腕筋間中隔,外側上腕筋間中隔)によって分けられます。
目次

上腕の屈筋

上腕の前方にあり,主に肘関節を屈曲させる.主に筋皮神経支配.

1.上腕二頭筋(動画リンク)
biceps brachii

 

上腕前面の表層にある二頭筋.
両頭の筋腹の多くは三角筋の停止の高さで合して紡錘形となり停止部で強い腱となって再び二つに分かれる.

起始 長頭 ➡

肩甲骨の関節上結節

・関節唇

棘上筋肩甲下筋の間隙(腱板疎部)を補強するようにして通り
上腕骨の結節間溝を結節間滑液鞘に包まれて下る

短頭 ➡

・烏口突起

共同腱として烏口腕筋とともに起こり烏口腕筋の前方を下る

停止 強大な腱は
橈骨粗面(橈骨の近位内側)薄い面状(上腕二頭筋腱膜)となり
・尺側の前腕筋膜
作用 長頭 ➡
肘関節の屈曲
・前腕回外
肩関節の外転(,屈曲,外旋)
・骨頭の上方移動を抑える▲長頭腱炎でYergasonテスト,Speedテストが陽性.
▲関節唇が剥離されるSLAP損傷※は,投球動作で生じることが多い.
SLAP損傷(superior labrum anterior and posterior lesion)は、上方肩関節唇損傷ともいう.
短頭 ➡
肘関節の屈曲
・前腕回外
肩関節の屈曲,内転,内旋
・肩の下方脱臼を防ぐ
髄節 C5,6
神経 筋皮神経

 

2.烏口腕筋(動画リンク)
coracobrachialis

上腕の前内側にある表層の筋.
通常,この筋を筋皮神経が貫通する.

起始 ・烏口突起
共同腱として上腕二頭筋の短頭とともに起こり,短頭の後内側を下行する.
停止 上腕骨の中央内側
作用 ・肩の下方脱臼を防ぐ
肩関節の屈曲,内転
髄節 C5,6,7
神経 筋皮神経

 

3.上腕筋(動画リンク)
brachialis

上腕二頭筋の下(深層)にある.外側部は橈骨神経の支配を受ける.

起始 上腕骨前下方2/3
・内側上腕筋間中隔
・外側上腕筋間中隔
・内側顆上稜上腕二頭筋に被われて上腕の前面を下る.
停止 尺骨の鈎状突起
尺骨粗面
肘関節包の前方
作用 肘関節の屈曲
(※前腕の回内,回外には影響を受けない)
・肘の随意的な屈曲時に関節包の挟み込みを防ぐ
髄節 C5,6,7
神経 筋皮神経(C5,6)、橈骨神経(C7)
外側部は橈骨神経の支配を受ける.

 

上腕の伸筋

 

上腕の後方にあり,肘関節を伸展させる.

全て橈骨神経支配.

1.上腕三頭筋(動画リンク)
triceps brachii

上腕後方にある三頭(長頭,外側頭,内側頭)筋.外側頭と内側頭の起始部の間(橈骨神経溝)に橈骨神経と橈側側腹動脈が通る.
※長頭は肩関節肘関節に作用する二関節筋である.

起始 長頭
肩甲骨の関節下結節
小円筋の前,大円筋の後を下る
外側頭
肩甲骨の関節下結節
小円筋の前,大円筋の後を下る
内側頭
上腕骨後面で橈骨神経溝の下内側
・内側上腕筋間中隔
・遠位部は外側上腕筋間中隔,内側顆上稜※,外側顆上稜※
停止 三頭は合して腱板となり

尺骨の肘頭

内側頭からの線維は

肘関節包の後方

作用 長頭
・肘の最終伸展時に作用する.
肩関節の伸展,内転
・肩の下方脱臼を防ぐ
外側頭
・肘の最終伸展時に作用する.
内側頭
・肘の伸展初期に作用する.
・肘伸展時に肘関節包を後上方に引く
髄節 C6,7,8
神経 橈骨神経

 

2.肘筋(動画リンク)
anconeus

上腕三頭筋の内側頭の一部から独立.

起始 上腕骨の外側上顆の後面
・外側側副靱帯
肘関節包の後方
停止 扇状に広がり
・肘頭
尺骨後面上方1/4
作用 ・肘伸展時に肘関節包を引き,挟み込みを防ぐ
髄節 C7,8
神経 橈骨神経

 

3.肘関節筋
articularis cubiti

希な破格.

起始 上腕三頭筋の深部の筋束の一部
停止 肘関節
作用 ・肘伸展時に肘関節包を引き,挟み込みを防ぐ
髄節 C(6)7,8
神経 橈骨神経

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