椎骨には、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎が含まれます。
仙椎は、成人では癒合して仙骨になり、
尾椎も、癒合して尾骨となります。
椎骨の上下の連結が椎骨間の連結です。
椎骨間の連結は、
次の3つに分類されています。
- [1]椎体間の連結
- [2]椎弓間の連結
- [3]椎間関節
[1]椎体間の連結
椎体間を連結するもので、
椎体と椎体の間にある椎間(円)板(ついかんえんばん)、
椎体の前面を縦走する前縦靱帯(ぜんじゅうじんたい)、
椎体の後面を縦走する後縦靱帯(こうじゅうじんたい)からなります。
椎間円板(椎間板)intervertebral disc
臨床の現場では、discと略して言われることが多いです。
椎間板は、椎体と椎体の間(C2/3~L5/S1)にあります。
ただし、C1(環椎)には椎体が存在しないため,その上下には椎間板はありません。
椎間板歯、厚い円板状をしており、外側の線維輪と中の髄核から構成されます。
髄核(ずいかく) nucleus pulposus
椎間板の中心部のゼラチン様の線維軟骨で、
水分が80~85%含まれ、弾力、膨張性に富み、
脊柱への長軸方向の衝撃を吸収して脳を保護する役割があります。
線維輪(せんいりん) anulus fibrosus
走行が異なる多数の層からなり、中にある髄核をとり囲んでいます。
線維輪の外側部はタイプⅠコラーゲン線維が
様々な角度で互いに交差し、椎体の上面と
下面の外周部に付いています。
線維輪内側部はタイプⅡコラーゲン線維が
椎体内側の硝子軟骨性の関節面(椎体終板)についています。
椎体終板(ついたいしゅうばん)は、椎体内側中央部にあります。
成人の椎間板について
成人の椎間板は、主に椎体終板からの
拡散diffusionによって水分や栄養分を得ています。
そして、
成人の髄核には神経、血管はありませんが
線維輪の外側1/3には神経、血管支配が存在し、疼痛の受容器も存在します.
椎間板性の疼痛について
上記の理由によって
▲変性,外傷などによる線維輪の亀裂によって
外側に有る神経が侵入し疼痛の原因になります。
椎間板の数は?
椎間板は頸部に5(C2/3~6/7),
胸部に12(C7/T1~T11/12),
腰部に5(T12/L1~L4/5),
仙骨部に1(L5/S1)の合計23あります。
椎間板に関係する靭帯について
前縦靱帯 anterior longitudinal ligament
後頭骨底部から椎体前面、椎間板前縁とを僅かに
結合しながら仙骨前面までを被う長い靱帯です。
上端は狭く厚いが下端は広く薄くなります。
後縦靱帯 posterior longitudinal ligament(PLL)
蓋膜(後頭骨の斜台に付く)から
脊柱管の前壁(椎体の後面)を被う長い靱帯.
椎間板の後面と固く結合し、椎体の縁とも
結合するが椎体後面の中央とは結合がゆるい.
OPLL(後縦靭帯骨化症)とは?
▲後縦靱帯骨化症OPLLは、
後縦靭帯が徐々に肥厚していく難病で、
後方にある脊髄がある場合は、圧迫されるため
脊髄症状が生じる場合があります。
[2]椎弓間の連結
椎弓間の連結には、
脊柱管の後壁にある黄色靱帯(おうしょくじんたい)、
棘突起間にある項靱帯(こうじんたい)および
棘間靱帯(きょくかんじんたい)、
棘突起上を結ぶ棘上靱帯(きょくじょうじんたい)、
横突起間を結ぶ横突間靱帯(おうとつかんじんたい)がある.
黄色靱帯 yellow ligament(ligamenta flava)
脊柱管の後壁にあり軸椎(C2)から
第1仙椎の上下の椎弓板を結ぶ短く強い靱帯.
弾性線維を50~80%含み黄色で後方は棘間靱帯と結合する.
▲黄色靱帯骨化症OYLでは、
この靱帯の前方にある脊髄が徐々に圧迫される.
棘間靱帯 interspinous ligament
上下の棘突起間を結ぶ薄い靱帯.
その線維は棘突起に並行から斜めに張る.
垂直な線維はないので、
脊柱の屈曲運動の制限は比較的少ない.
項靱帯 nuchal ligament
後頭骨の外後頭隆起から頸椎の棘突起上を
C7棘突起まで張る膜状の靱帯.
頸部の固有背筋を左右に分ける中隔で
C7以下は棘上靱帯に移行する.
棘上靱帯 supraspinous ligament
項靱帯につづきC7棘突起の尖端から棘突起上を仙骨後面まで張る.
横突間靱帯 intertransverse ligament
隣接する椎骨上下の横突起間(腰部は副突起間)を結ぶ.
[3]椎間関節 zygapophysial joint(=facet joint)
上位の椎骨の下関節突起と
下位の椎骨の上関節突起による平面関節.
椎骨の場所で関節面の傾きが異なり、
関節運動もそれに応じて生じる.
頸椎の椎間関節の特徴
薄くて強くゆとりのある関節包に包まれ
関節面は上前方から後下方へ約45°傾き、
屈曲,伸展,回旋,側屈の可動性が大きい.
胸椎の椎間関節の特徴
関節面は前額面に近く、
関節包もゆとりがないため
屈曲,伸展の可動性は小さい.
腰椎の椎間関節の特徴
関節面は矢状面に近いため
可動性は屈曲,伸展で大きく,
回旋や側屈で小さい.