環椎(かんつい)(第一頸椎)
Atlas;C1
頸椎最上部にあり前弓(ぜんきゅう),後弓(こうきゅう),外側塊(がいそくかい)に区分する.
椎体がなく他の椎骨とは異なる点が多い.
ギリシャの神Atlasが地球を支える姿を環椎が頭部を支える構造になぞらえてAtlasの名称がある.
①前弓 ②前結節 ③歯突起窩 ④後弓 ⑤後結節 ⑥椎骨動脈溝 ⑦外側塊 ⑧上関節窩 ⑨下関節窩 ⑩横突起 ⑪横突孔 ⑫椎孔
①前弓 ②前結節 ③歯突起窩 ④後弓 ⑤後結節 ⑥椎骨動脈溝 ⑦外側塊 ⑧上関節窩 ⑨下関節窩 ⑩横突起 ⑪横突孔 ⑫椎孔
環椎の椎体は?
もともとの環椎の椎体は、発生途中でC2(第二頸椎)の椎体と癒合します。
そしてC2の歯突起となります。そのため環椎(C1)に椎体はありません.
環椎の椎弓は?
椎体がないため椎弓はない.
環椎の棘突起は?
棘突起ではなく,後結節となる.
環椎の前弓
前方の弓状部で外側塊(がいそくかい)より前にある.
中央前面に前結節があり頸長筋(頸神経)が付く.
前弓の内側中央の歯突起窩は軸椎の歯突起前面にある前関節面を受け車軸様の動きの正中環軸関節となる.
環椎の後弓
後方の大きな弓状部.
一般の椎骨の椎弓部にある.
後面中央に後結節があり小後頭直筋(後頭下神経)が付く.
上面で外側塊のすぐ後方に椎骨動脈溝があり,この上に椎骨動脈が乗り大後頭孔へ向かう.
環椎の外側塊
前弓と後弓の間の外側にある肥厚した骨塊.
他の椎骨の関節突起部にある.
内側の粗面に環椎横靱帯が付く.
上には楕円形を外側につぶし,ひょうたん形に凹んだ上関節窩があり後頭骨の後頭顆を乗せる.
下には平面で円形の下関節窩(下関節面とも表記)がありC2の上関節面の上に乗る.
環椎の横突起
外側槐の側方にあり強大で二分しない.
外側頭直筋(頸神経),上頭斜筋(後頭下神経),下頭斜筋(後頭下神経),前頭直筋(頸神経),頸板状筋(頸神経),肩甲挙筋(肩甲背神経,頸神経),横突間筋(脊髄神経)が付く.
環椎の横突孔
外側塊の側方の横突起にありC2の横突孔よりも外側に位置する.
環椎の椎孔
前弓,後弓,外側塊で囲まれた大きな孔.
環椎横靱帯で前後に二分され,前方に第2頸椎の歯突起,後方の広い部分に頸髄を通す.
環椎の上関節突起と下関節突起は?
(C1の上下には)形成されない.
そのため上椎切痕,下椎切痕もつくられず椎間孔も形成されない.
環椎の関節窩の位置は?
他と異なり,椎体鈎(C3~T1の椎体の外側にみられる)に相当する場所にある.
※上関節窩,下関節窩,前弓,後弓,外側塊,椎骨動脈溝,歯突起窩は環椎(C1)だけにある.
□key words
①前弓anterior arch
②前結節anterior tubercle of atlas ③歯突起窩facet for dens |
④後弓posterior arch
⑤後結節posterior tubercle of atlas ⑥椎骨動脈溝groove for vertebral artery |
⑦外側塊lateral mass
環椎横靱帯transverse ligament of atlas ⑧上関節窩superior articular facet ⑨下関節窩inferior articular facet ⑩横突起transverse process ⑪横突孔transverse foramen |
⑫椎孔vertebral foramen |