<解説>第50回理学療法士・作業療法士国家試験問題(共通問題50P71) 肩甲骨の上方回旋に作用する筋

71 肩甲骨の上方回旋に働く筋はどれか。

1.前鋸筋

2.小胸筋

3.広背筋

4.大菱形筋

5.肩甲挙筋


目次

【解説】

肩甲骨の上方回旋に作用する筋

前鋸筋僧帽筋(上部線維)+僧帽筋(下部線維)です。これらの3つの筋線維が協同して働き肩甲骨の上方回旋が生じます。

肩甲骨の下方回旋に作用する筋

菱形筋、小菱形筋肩甲挙筋広背筋大胸筋小胸筋などがあります。

安静立位で肩甲骨が下方回旋した状態にある人

通常、上方回旋させる筋の弱化や延長、下方回旋させる筋の短縮がみられ、治療には姿勢の改善、弱化した筋の強化と筋機能の改善、短縮した筋のストレッチが必要となります。

前鋸筋

腹斜筋に接して8~10個の筋尖が第1肋骨~8(~10)肋骨から鋸(のこぎり)状に起こり肩甲骨の上角、内側縁、下角へ付く鋸筋で、特に下部線維(第4~8肋骨からの線維)が重要な役目を果たします。前鋸筋の作用は肩甲骨の外転、上方回旋で肩関節の屈曲と外転時に肩甲骨を固定し、肩甲骨の上方回旋の主動作筋として作用します。この筋が機能不全を起こすと、翼状肩甲(winging scapula;winged scapula)と呼ばれる状態となり、肩関節の屈曲や外転が特に障害され肩の挙上が困難となります。

広背筋

腰背部の表層にある扇状の広い筋で、腰背部から広く起こり、腋窩を通って上腕骨の小結節稜に付きます。一部の線維は、肩甲骨の下角に起始しますが停止部は小結節稜です(リンク)。

僧帽筋が機能不全を起こして翼状肩甲を呈することもありますが、この場合、肩関節外転の障害が著明となります。

小胸筋

大胸筋の下にあって第3~5肋骨から起こり、肩甲骨の烏口突起に付きます(リンク)。

(大、小)菱形筋は、第(6)、7からT5棘突起から起こって、斜め外側下方へ走行し肩甲骨の内側縁に付きます(リンク)。

肩甲挙筋

第1~4頸椎の横突起から起こり、斜め外下方に下り、肩甲骨の上角に付きます。肩甲骨への付着部が内側上縁にある上角に付着し、ここを引き上げるため下方回旋に作用することになります。

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答え

1.前鋸筋

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