深部感覚は、体性感覚に含まれます。
その受容器は筋や腱、関節などに
存在し、位置覚や関節覚といった
姿勢をコントロールする重要な感覚です。
今回は、深部感覚の伝導路について
ご紹介します。
温痛覚の経路とは、異なり
やや複雑な感じですが(^_^;)~
深部感覚の種類
深部感覚には、大きく2つの種類があります。
<1>意識される深部感覚
<2>意識されない深部感覚
<1>意識される深部感覚(後索路)
関節がどのくらい曲がっているか、
どんな位置にあるかなどが
分るのは意識される深部感覚になります。
受容器は、パチニ小体、マイスネル小体
などで、皮膚や一部は筋、腱にも存在します。
<後索路>
赤枠部分が後索部です。
中央に近い部分が「薄束」で
下肢からの線維が通ります。
薄束よりも外側は、「楔状束」といい
頸部からの線維が通ります。
受容器からの情報は、脊髄へ向かって
上がってきます(1次ニューロン)
↓
神経細胞体は、後根神経節にあります。
後根から脊髄に入ると、後索部分を
上行して行きます。
↓
上半身の線維は薄束
(後索内側部)を上行
下半身の線維は楔状束
(後索外側部)を上行
↓
下部延髄にある薄束核または楔状束核で
シナプス(1回目)を経由してから
反対側へ移行(毛帯交叉といいます)
します。(2次ニューロン)
↓
そのまま、内側毛帯を上がっていきます。
↓
橋(内側毛帯)
↓
中脳(内側毛帯)
↓
視床(後外側腹側核:VPL核)で
シナプス(2回目)
↓
3次ニューロンが、
大脳皮質(頭頂葉の中心後回)へ到達
<2>意識されない深部感覚(脊髄小脳路)
筋肉の状態を常にチェック
して姿勢の調整を行ったりするのに
重要な役割を果たしています。
情報は、小脳の虫部に伝えられて
調整されるようになっています。
筋紡錘からのⅠa線維、
ゴルジ腱器官からのⅠb線維が
受容器です。
※感覚の重要な中継地である
視床は経由しません。
<後脊髄小脳路>について
図の赤枠部分が、後脊髄小脳路です。
[box class=”green_box” title=”後脊髄小脳路①”]
<上半身の筋紡錘などからの情報>
上半身の筋紡錘などからの情報
(1次ニューロン)
↓
同側の楔状束を上行します
↓
延髄の副楔状束核で
シナプスを経由します。
(2次ニューロン)
↓
2次ニューロンは、
下小脳脚を通って
↓
小脳虫部へ
<下半身の筋紡錘などからの情報①>
下半身の筋紡錘などからの情報
(1次ニューロン)
↓
同側の後角で
(C8)T1~L3に存在する
クラーク核(胸核)または
Stilling核で
シナプスを経由します。
↓
ここからの2次ニューロンは、
同側の脊髄側索に存在する
後脊髄小脳路を上行
↓
延髄まで行くと下小脳脚を通って
↓
小脳虫部へ
<前脊髄小脳路について>
下半身の深部感覚の一部を伝える経路で
反対側に交叉した線維が通ります。
図の赤枠部分が、前脊髄小脳路です。
[box class=”green_box” title=”前脊髄小脳路”]
<下半身の筋紡錘などからの情報②>
筋紡錘からのⅠa線維と腱紡錘からの
Ⅰb線維が脊髄の後角に入っていきます
(1次ニューロン)。
(神経細胞体は後角に入る前の
後根神経節にあります。)
↓
後根から後角に入りますが、そこで
シナプスを経由して2次ニューロンへ
乗り換えます。
↓
乗り換えた2次ニューロンは
脊髄の中心管の前を通って
反対側の前脊髄小脳路へ行き
そこを上行。
↓
上小脳脚を通って小脳に入り
再交叉して虫部へ
※前脊髄小脳路は、一般に発達が悪く
後脊髄小脳路の副路と考えられています。
下半身からの意識されない深部感覚
ちょっと分かりにくいですが、
下半身からの神経線維は、
後根から入ってから
2つに分かれます。
その一つは、
同側の楔状束(後索外側部)を
上行する線維
(そのまま、1次ニューロンで上行)
もう一つは、腰仙髄の後角~中間質で
シナプスを経由した後、
2次ニューロンとなって脊髄の
中心管の前を通り
反対側の前脊髄小脳路を上行して行く線維です。
<参考文献>
イラスト解剖学
病態生理できった神経内科学
<関連記事>