ブログで解説! 理学療法士国家試験問題 47P4 (計算問題 運動神経伝導速度)

4.図のように測定した尺骨神経の運動神経伝導速度で正しのはどれか。

 ただし、図中のS1とS2は電気刺激電極、Rは記録電極を示すものとし、伝導速度は小数点以下第2位を四捨五入するものとする。

47p4

1.59.2m/s

2.64.5m/s

3.69.7m/s

4.88.2m/s

5.98.1m/s


目次

【解説】

運動神経伝導速度(MCV:motor nerve conduction velocity)は、

運動神経を電気刺激して、その刺激によって筋が反応(M波)するまでの時間を使って求めます。

但し、運動神経を刺激する場所は2カ所必要です。

 

ある部位を刺激して、その筋が反応するまでの時間と刺激する部位から反応する筋の部位までの距離を用いて計算しても神経の電導スピードは求められません。

 

なぜか?

 

神経以外の要素(神経筋接合部の時間)が含まれているためです!

 

そもそも、筋が反応するには、刺激部位からの電気信号が筋に流れ、すぐに筋が反応するわけではなく、

 

刺激すると

➡電気信号が神経を伝わり

➡神経終板から神経伝達物質(アセチルコリン)が遊離

➡神経伝達物質(アセチルコリン)が筋に取り込まれ

➡筋収縮

となります。

 

刺激部位(例えば、図のS2)を刺激し、反応S2の筋電図波形をみて反応し始めるまでの時間(6.5秒)を用いて計算しようとしても、神経筋接合部までの時間も入ってしまっています。

 

そのため、2つの刺激部位を用いて神経のみの伝導速度を求めます。

 

2カ所を刺激して、筋の反応時間を比較すると、

神経筋接合部での時間は、共通に含まれるため

神経を伝わるスピードのみの時間差が求められ

結果として、神経伝導速度を求めることができます。

 

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具体的な計算は?

 

S1とS2は刺激電極です。

Rは、記録電極です。

 

刺激電極は、通常、陰極(-)を遠位(末梢に近い方)におきます。

図もそのようになっています。

 

計算する場合は、

S1の陰極、S2の陰極の距離

S1の筋電図波形で、反応が見られ始める時間(M波反応がみられ始める時間)

S2の筋電図波形で、反応が見られ始める時間(M波反応がみられ始める時間)

を用いて計算します。

 

S1とS2の陰極の距離は、

225+20(mm)

 

S1とS2の反応時間の差は、

6.5-2.7(ms)

 

速度は、

距離/時間で求めることができますので

 

求める神経伝導速度は、

(225+20)/(6.5-2.7)≒64.5(m/s)

となります。

 

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参考までに

 

運動神経伝導速度の正常値(成人)は、

 

正中神経では、58(51~65)m/sec

尺骨神経では、60(50~69)m/sec

腓骨神経では、47(43~50)m/sec

 

です。

 

設問の答えも、この範囲におさまっています。

 

答え

2.64.5m/s

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