自律神経過反射(じりつしんけいかはんしゃ)は、
T5,6(第5、6)胸髄よりも上位で損傷した
脊髄損傷者にみられる自律神経障害です。
麻痺域の疼痛刺激(例えば下肢の疼痛刺激)、
膀胱壁の拡張刺激などが引き金となって
血圧上昇や徐脈、皮膚温低下、頭痛などの
症状が生じます。
自律神経過反射のメカニズム
自律神経過反射を生じさせる誘引で多いのが
膀胱の拡張です(尿が多量に貯まるなど)。
膀胱の拡張などの刺激
↓
求心性刺激として脊髄へ
↓
刺激が脊髄を上行
↓
刺激を受けた部位の交感神経が活性化
交感神経が活性化すると
血管が収縮して血圧上昇します!
↓
血圧上昇
↓
大動脈弓、頸動脈洞にある圧受容器が
血圧上昇を感知
↓
血圧を下げるため、迷走神経が活性化
迷走神経は、交感神経とは逆の働きを
しますので・・
↓
心臓をコントロールして心拍数を下げる
(徐脈となります。)
↓
副交感神経が優位になれば、通常は
交感神経が抑制されますが、
T5、6で脊髄が損傷されているため
中枢からのコントロールがT5、6でストップします。
↓
T5、6までの交感神経の興奮状態が継続
↓
身体の大部分の領域での血管収縮が継続
(下の図を参考にしてください。)
↓
血圧上昇は、殆ど改善されない
(高血圧の状態が持続)
↓
圧受容器は作動するため
徐脈も継続
損傷部位は?
T5,6(第5、6)胸髄よりも上位です。
ですので、頸髄損傷はすべて含まれます。
自律神経過反射のメカニズム(図)
自律神経は、交感神経と副交感神経からなります。
詳細は、こちら↓↓
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自律神経の部位を示した大まかな図(↓)です。
自律神経過反射のボーダーとなるT5,6ですが、
理由があります。
T5、6は、何を意味するのか?
T1からL2までの間には、交感神経があります。
副交感神経は、ありません。
T1からT5、6
・・頸部や胸部を支配
T5、6からL2
・・腹部(臓器)、骨盤内臓器を支配
上記のように、
交感神経が支配している部位は
T5,6を境に大きく異なります。
自律神経過反射で血圧上昇が生じる理由
フローチャートで示している通り、
膀胱の拡張や下肢からの痛み刺激などが
交感神経を活性化させるため血圧が上昇します。
自律神経過反射で徐脈が生じる理由
これも、フローチャートで示している通りです。
急激な血圧上昇
↓
圧受容器が作動
↓
副交感神経(迷走神経)が活性化
↓
心拍数を少なくする
↓
T5、6で脊髄が損傷されているため
中枢からのコントロールがT5、6でストップ!
↓
心拍数を少なくしても血圧上昇が継続
↓
圧受容器の作動が継続
↓
徐脈
自律神経過反射の際の対応
臥位の場合は、座位へ
臥位で自律神経過反射が生じた場合は、
姿勢を座位へ体位変換します。
血圧上昇による脳出血などのリスクを
避ける意味があります。
自律神経過反射が発生している座位
の脊髄損傷の人を臥床させるのは☓(禁忌)です!
自律神経過反射の原因を除去
自律神経過反射の原因を特定して除去。
膀胱の拡張などが生じている場合
・・排尿・排便
褥瘡、下肢など、疼痛刺激が発生している
部位の確認と対処。
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