高次脳機能障害(失行・失認)の種類と責任病巣<まとめ>

目次

失認 agnosia

障害部位 障害内容 検査
視覚失認 両側後頭葉 視力障害、半盲、視野狭窄などの感覚障害を伴わないのに、視覚による物体、図形、相貌、色彩などが認知できない。 物を見せて、その名称や用途を答えさせる。
人の名前、続柄などを答えさせる。
触覚失認 一側の
頭頂葉縁上回
触っている感覚はある(正常)が、その物体の名称や用途が認知できない。 閉眼で、日用品などを触ってもらい、その名称や用途を答えさせる。
聴覚失認 優位半球の
側頭葉上後部?
音は聞こえるが、その音の認知・識別ができない。 聞きなれた音を聞かせ、何の音かを答えさせる。左右の耳を別々に検査する。
手指失認 優位半球の
頭頂・後頭葉
 自分や他人の手指の名称や識別ができない。  検査者が指示した手指(例えば人差し指)を示させる。
身体部位失認 優位半球の
頭頂・側頭葉
 自分や他人の身体部位の名称や識別ができない。  検査者が指示した身体部位(例えば口や鼻など)を示させる。
ゲルストマン症候群 優位半球の
頭頂・後頭葉
 手指失認・左右障害・失算・失書の4つの症状が合併。
半側身体失認 劣位半球の
頭頂・後頭葉
 自分の半側の身体の認知ができない。  身体部位の指示や模倣行動の観察。
半側空間失認  病巣と反対側の視空間の無視。  線分抹消テスト、線分二等分テスト、時計の模写など。
病態失認  病気があるにもかかわらず、それを認識しない。  面接や言動の観察。

 

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優位半球・劣位半球とは?

優位半球は、言語野のある大脳半球のことです。
通常は、左大脳半球を指します。

個人差があり、言語野が右大脳半球に存在する人がいます。
殆どの人は、言語野が左大脳半球にあります。
そのため、通常、言語障害は右片麻痺(左の大脳半球の障害)で生じます。

劣位半球は、言語野と反対の(言語野のない)大脳半球を指します。
通常は、右大脳半球です。

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失行 apraxia

障害部位 障害内容 検査
肢節運動失行 前運動野 簡単な動作の運動表現ができない。 手指の屈曲、閉眼、舌の出し入れ、起立、歩行などの動作を指示して行わせる。
観念運動失行 優位半球の
頭頂・後頭葉
指示を理解しているが、指示された単純な動作ができない。自発的な運動はできる。 簡単な動作(じゃんけん、手指でキツネの真似など)ができない。
観念失行 行為の手順の観念が障害され、複合的な動作の遂行が困難。 お茶を入れる手順、タバコに火をつける手順が障害。
着衣失行 劣位半球の
頭頂・後頭葉
運動障害はないが、衣服の着脱が行えない。 衣服の着脱を指示して、様子を観察する。
構成失行 両側の
頭頂・後頭葉
簡単な図形、絵画、文字が自発的にも模倣によっても書けない。 線画の描写、積み木・マッチ棒での構成。

 

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