10.52歳の女性。関節リウマチ。発症して17年が経過している。手指関節に痛みを訴えており、図のような変形がみられる。
手指に対する最も適切な物理療法はどれか。
1.超音波
2.遠赤外線
3.極超短波
4.パラフィン浴
5.ホットパック
【解説】
手指の図をみると、手指の短縮があり関節リウマチ(RA)のムチランスタイプの変形が認めらます。
このような方の手指は、関節が破壊されており、関節の動揺性が大きく(グラグラの状態)筋力も弱いです。
痛みがある場合、温熱療法や寒冷療法が適応されますが、
手指や足趾のように凹凸のある部位への温熱療法は、教科書的にはパラフィン浴が適応されます。
※臨床では、ホットパックもよく使われます。むしろこちらが多いような印象です。
物理療法のポイント
超音波
エネルギー変換熱に分類されます。
人工関節など金属が入っている部位にも使用可能で、何にでも使えそうですが、成長期の骨端線には使えませんので、小学生から高校生ぐらいの対象者に超音波治療の話が出てきたら注意してください。
ビーム不均衡率(BNR)は、5以下が良いとされています(低いほど性能が良い)(38-29で出題)。
治療範囲は、有効照射面積の2倍までが目安です(38-29で出題)。
治療周波数1MHzのものは深部に、3MHzのものは浅部の治療に使われます。
空気中は伝わらないので、必ずゲル状のカップリング剤を使うか、水中での使用(0.5~1㎝離した距離で使用)となります(38-90で出題)。
非温熱作用としては、筋と骨との境界が大きいです(44-81で出題)。
ちなみに、超音波は音波ですので、電磁波ではありません。
遠赤外線
電磁波の一つです。
赤外線の中でも波長の長いものになります(下図参照)。
極超短波(マイクロウェーブ)
エネルギー変換熱に分類されます。
波長12.5㎝、周波数2450メガヘルツ(MHz)が医療用の極超短波に使われます。
人工関節などの金属が入っている部位には使えません。
成長期の骨端線などにも使用できません。
水分を多く含む組織の過熱に優れており、筋層を選択的に加熱することができます。
パラフィン浴
伝導熱に分類されます。
引火性があるので注意が必要です。
熱伝導率が小さく、また熱が冷めにくい特徴があります。➡比熱が大きい。
そのため、50~55℃に設定して使います。(43-58で出題)
流動パラフィン:固形パラフィン=3:100 程度です。
循環障害のある部位には使えません(例 深部静脈血栓症 :40-92で出題)。
ホットパック
伝導熱に分類されます。
75~80℃の水で温めて使用します。
湿熱としても乾熱(ビニール袋などで包んで使用)としても使用できます。
答え
4.パラフィン浴