<解説>第51回理学療法士国家試験問題(51A26) 左半側空間無視の治療法、カロリック刺激?

26 左半側空間無視の治療法として適切でないのはどれか。

1.視覚探索練習

2.体幹の右への回旋

3.プリズム適応

4.後頭部経皮的通電刺激

5.カロリック刺激(Caloric stimulation)

目次

【解説】

左半側空間無視の治療法に関係する基本的な問題です。選択枝としてあまり聞きなれないものも含まれていますが、

左半側空間無視の患者さんは、左を無視し、体幹や頚部も右へ回旋している状態にあることから考えると、

体幹の右への回旋は、治療としては使えない(むしろ治療では禁忌に近い)ことが分かります。

通常であれば、無視する方向への注意を促すために左側への体幹の回旋を行います。

他の選択枝が十分に分からなくても、答えの2番は選びやすい問題となっています。

 

視覚探索練習(Visual scanning training)

右側から左側へ注意を誘導しながら対象を認知できるようにして治療して行きます。

 

プリズム適応(Prism adaptation)

特殊レンズを使ったメガネ(10°程度視野を側方にずらしたプリズムメガネ)を装着して行う治療。

 

後頭部経皮的通電刺激

健側からの抑制を解除するために健側半球(左頭頂後部:左麻痺のため障害されている大脳半球は右、健側は左)に電気刺激を行う治療。

 

カロリック刺激(Caloric stimulation)

脳損傷側の耳に冷水を入れて無視の治療を行うもの。Caloricは熱を意味する言葉です。

 

caloric

Pathway for vestibulo-ocular reflex by left cold caloric stimulation. Cold water irrigation on left ear causes tonic deviation of eyeball to the left and rapid corrective eye movements toward the right. Thick lines are excited pathways and dotted lines are inhibited ones.

Therapeutic Effects of Caloric Stimulation and Optokinetic Stimulation on Hemispatial Neglect
SY Moon, M.D., BH Lee, M.A., and DL Na, M.D.corresponding author

参考文献:J Clin Neurol. 2006 Mar; 2(1): 12–28.Published online 2006 Mar 20.

 

解答

2.(体幹の右への回旋)

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