酸塩基平衡の異常と原因!アシドーシスとアルカローシスとは?

酸塩基平衡については、生理学で
学習する内容ですが、実際の臨床
の場面でも非常に重要な事柄です!

過呼吸になっている人をみて
何を心配しなければ
ならないのか?

大量に嘔吐をした患者さんの場合、
身体の中は、どのように
反応しようとしているのか?

また、これらを調整している
メカニズムは、どうなっているのか?

色々な疑問が生じてきますが
これは、酸塩基平衡のメカニズムを
学習することで
そのヒントを得ることができます。

 

目次

酸塩基平衡とは?

酸塩基平衡(さんえんきへいこう)という
言葉からして・・・

もう、無理・・!

って思ってしまう人もいる
かもしれませんね(^_^;)

まずは、一つずつ解決して行きましょう!

ホントに奥深書く理解しようとすると
どこまででも深く入らなければ
ならなくなります。

そうなると、どつぼに
はまることにもなりますので
ある程度のところで
まずは、概略をつかみましょう!

 

血液のpH(ペーパー)

人間の血液中のpHは、常に
7.4に保たれています!

厳密には、7.35~7.45
の間で動脈血のpHは、保たれています。

どうして7.4かの疑問について
調べだすと、大変なことになりそう
ですので・・

ここは、ひとつ
人間の血液のpHは、7.4
ということで、お願いします。

 

酸性とアルカリ性は、どうやって決まる?

ここまで、説明することに
なるとは思いませんでしたが・・・

酸性・・水素イオン(Hが多い

アルカリ性・・水素イオン(Hが少ない

要するに、水素イオン(Hの量に
よって酸性かアルカリ性が
決定します。

 

 

血液が酸性に傾くとは?

例えば、血液のpHが、7.38
だとします・・

これは、pHだけからみると
アルカリ性です。

pHは、7.0が中性ですので
それよりも低い値となると
酸性、高い値となるとアルカリ性
となります。

しかし

血液については、pH7.4が
正常値ですので、この値よりも
酸性側に傾いた場合(低い値)
のときがアシドーシス(酸性に
傾いたことを意味します。)

 

血液がアルカリ性に傾くとは?

酸性に傾くのとは逆に

pH7.4よりもアルカリ性側に
傾いた場合がアルカローシスと言います。
実際は、7.4よりも大きい値と
なります。

 

人の血液のpHの限界値は?

pHの正常範囲は、
7.35~7.45 です!

通常、7.4が正常値ですが、
病気などでは、その値が変動
します。

では、限界値はどのくらいなのか?

 

①アシドーシスの限界値・・

pH6.8(アシドーシス)が限界!
(参照:健康スポーツ生理学)

これ以上は、生命の危機と考えてください。

 

②アルカローシスの限界値・・

pH7.8(アルカローシス)が限界!
(参照:健康スポーツ生理学)

これ以上は、生命の危機と考えてください。

酸塩基平衡とは?

血液のpHが、酸性やアルカリ性
に傾かないようにしている
仕組みのことを酸塩基平衡と言います。

酸塩基平衡のコントロールも
ホメオスタシスがあるから生じる
現象だと言えます。

ホメオスタシスとは?

恒常性(ホメオスタシス)は、
人間の身体の状況を常に正常に保つ
ように自動的に働く機能のことです。

具体例は・・!

ホメオスタシスの具体例で
分かりやすいのが、体温の
コントロールです。

寒いときには、身体が冷えない
ように震えて熱を作り出したり、
手足の血流量を制限したりして
熱が外に逃げないようにしています。

暑い時は、逆に
汗をかいて、その気化熱で
体温を下げたり、手足の末梢部への
血液量を増やして、熱が身体に
たまらないようにしています。

専門的には、・・・

CO+H0 ⇔ H2CO⇔ H+HCO3

この式が安定するように
調整されているのが、酸塩基平衡です。

 

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酸塩基平衡の異常が生じる原因

簡単に言うと
酸塩基平衡の自動調節機能の範囲を
越える状態が生じた場合
ということになります。

・・・その原因を知りたいですよね!

まずは、酸性に傾いた
状態(アシドーシス)から
説明します。

 

アシドーシスの原因

 

酸性・・水素イオン(H)が多い

ですので、血液の中で水素イオン(H
が通常よりも増えて状態です。

水素イオン(H)が増える原因

普通にしてても、水素イオン(H
増える方向にあります。

 

というのは、

 

私達が生きるためには、食事をして
栄養を摂取して、その栄養源を
もとにエネルギーを作り出したり
生命に有用な物質を作り出したり
することが必要です。

このように、栄養源(タンパク質、
糖質、脂質など)を消化して
身体内部で必要な物質を
作り出したり、エネルギーを
取り出したりすることを代謝
と呼びます。

この代謝の過程で、水素イオン(H
が出てきてしまうのです。

ですので、そのままにしておくと
身体は、酸性に傾いていって
しまうことになります。

 

もう、お分かりだと思いますが
この水素イオン(H)を排泄する
システムに障害が生じると
アシドーシスとなってしまいます。

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アシドーシスの具体的な原因

肺(呼吸)と腎臓の機能が重要です!

両方とも、水素イオン(H)を減らす
方向に作用します。

 

腎臓の障害
(代謝性アシドーシス)

腎臓は、水素イオン(Hを排泄する
役割があります。

ですので、腎機能の障害があると
アシドーシスとなります。

この時は、溜まった水素イオン(H
を外に出そうとします。
具体的には、肺が頑張ります。

CO+H0 ⇔ H2CO⇔ H+HCO3

溜まった水素イオン H
重炭酸イオンHCO3
化学反応させて、二酸化炭素CO
Hを作り出します。そして、その
二酸化炭素を呼吸によって
外に出そうとするのです。

 

糖尿病
(代謝性アシドーシス)

糖は、細胞に必要な栄養素ですが
糖尿病では、血液中の糖が筋肉などに
取り入れられない状態となっています。

そのため、ホメオスタシスの働き
によって、血液中の糖が少ないと
勘違いして誤作動を起こしていまい、
今度は、脂肪酸を分解して糖を
作り出して血液中に送り込もうと
します。

すると、どうなるかというと
脂肪酸などの分解過程で
大量の水素イオン(Hが発生します。

通常よりも多くの水素イオンが
発生してしまい、アシドーシスの
原因となります。

 

下痢による(代謝性アシドーシス)

下痢することが、ナゼアシドーシスの
原因となるか?

疑問に思いますね!

それは、下痢することで失われる
腸液が関係するからです。

腸液は、それ自体がアルカリ性の
消化液ですので、単純に考えて
分かると思います。

身体の中のアルカリ性の物質が減るので
相対的にみてアシドーシスになります。

 

呼吸器(肺)の障害
(呼吸性アシドーシス)

肺の機能では、血液中の
二酸化炭素を外に出し
血液中に酸素を
取り入れる(ガス交換)が
有名ですね!

外呼吸とも呼ばれますが、
この機能がCOPDや肺気腫、
肺腺腫症などにより障害されると、
血液中の二酸化炭素の量が増え
二酸化炭素濃度も上昇します!

こうなると、どうにかして
血液中の二酸化炭素の量を
減らそうとします。

減らすためのシステムですが、
二酸化炭素COと水Hから
別の物質を作り出して
Hを減らすシステムが
採用されます(人の身体で)。

 

どうなるかというと

CO+H0 ⇔ H2CO H+HCO3

水素イオンと重炭酸塩イオンに分解して
外に出そうとします。

外に出す方法は、腎臓でろ過して
出します。

 

ですので・・

肺の障害などで二酸化炭素COが増えると
身体の中には、水素イオンH
増えてアシドーシスとなる原因
が生じることになります。

 

アルカローシスの原因

アシドーシスの説明の逆を
考えると分かりやすいと思います。

酸性・・水素イオン(H)が少ない

ですので、
血液の中で水素イオン(H
が通常よりも少ない状態です。

水素イオン(H)が減る原因

 

過換気症候群(=ハイパーベンチレーション)
(呼吸性アルカローシス)

過換気症候群のように
呼吸の頻度が増えすぎると
血液中の二酸化炭素COの量が
急激に減少します。

すると

CO+H0 ⇔ H2COH+HCO3

身体の中では、減った二酸化炭素の量を
もとに戻そうとします。

そのために、血液中の水素イオンH
重炭酸イオンと結合させて炭酸H2CO3 
をつくってから、それを分解して
二酸化炭素COと水Hを作り出します。

このような反応が生じるため
結果として、二酸化炭素が減ると
水素イオンも減る方向へ働き
アルカローシスとなります。

 

激しい嘔吐
(代謝性アルカローシス)

嘔吐すると胃酸が体外へ出されること
になります。

胃酸は、文字通り酸です!

水素イオンHが減りますので、
アルカローシスとなります。

CO+H0 ⇔ H2COH+HCO3

この場合、減った水素イオンH
増やそうとして、呼吸での
ガス交換を減らし、腎臓からの
水素イオンHの排泄を減らそうと
します。

 

 

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参考になる図書がありますよ!

集中講義生理学改訂2版 カラーイラストで学ぶ [ 岡田隆夫 ]

身体の仕組みについて分かり易く
まとめてありますので
テスト前の参考書としても
おすすめです!

 

水・電解質と酸塩基平衡改訂第2版 Step by stepで考える (Short seminars) [ 黒川清 ]

酸塩基平衡について人気の本です。

これは、酸塩基平衡や電解質について
書かれてあります。

 

参考文献・・健康スポーツ生理学、
コスタンゾ明快生理学、
人体の構造と機能、
カラーイラストで学ぶ集中講義生理学、
人体生理学ノート、他

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