【生理学】浮腫edemaむくみの原因メカニズムは?

浮腫edemaについてのメカニズムを生理学的に説明します!

目次

浮腫とは?

血管の外にある水分(間質液)の量が、正常よりも増加した状態ということができます。

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体内の水分はどこにあるのか?

体内の水分のことを体液といいます。

体液は体重の約60%です!

 

ここで、分かり易くするために、体重100kgの人を例にします!

 

体重の約6割(40kg)が、体液ですので、60kgが体液(身体の水分)となります。

一つは、細胞の中(細胞内液)にあります。

体重の約40%は細胞の中にあります。これを細胞内液といいます!

体重100kgの人だと、60kgが全体の水分になりますので、

からだ全体の水分の3分の2(約66%)が細胞内液にあります!

 

細胞内液は、文字通り細胞の膜の中にある水分のことです!

 

残りの3分の1(約33%)が、細胞の外にあります。

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細胞の外の水分は、二種類に分かれます。

一つは、血管内にある水分(血漿)!

これは、体重の約5%(100キロの体重の人であれば、5キロ)ですので、

身体の水分の約5/60すなわち、1/12が血漿ということになります。

 

血管内には、当然、血液があります。

その血液を構成するのが、血球と呼ばれる赤血球、白血球、血小板と、血漿です。

もう一つは、血管の外にある水分(間質液≒リンパ液)!

ちなみに、血管の外には、たくさんの細胞があります。

その細胞が臓器を構成したりしていますが、

その細胞の外にある水分も間質液ということになります。

間質液はリンパ液と呼ばれることもあります。

 

これは、体重の約15%(100キロの体重の人であれば、15キロ)ですので、

身体の水分の約15/60すなわち、約1/4(25%)が血漿ということになります。

間質液の増加する2つの原因は?

①毛細血管から水分が多量に出ていく場合

この原因には、血液の状態が関係します!

血液は、血球成分と血漿成分に分かれますが、

血漿の中に含まれる、アルブミン(タンパク質の一種)の量が減少した場合(低アルブミン血症)です!

 

簡単に言うと、血液濃度が薄くなるため、血液濃度を一定に保とうとする働きが作動して

血管の中の水分を外に出そうとします。

ちなみに、アルブミンは、大きいので通常、毛細血管の外には出にくいです。

 

外に出す手段としては、腎臓から濾過して出す方法と

毛細血管の外に直接出す方法があります。

後者のメカニズムが作動した場合に浮腫が生じます!

 

もう一つは、

静脈の流れが悪くなった時です。

この原因には、肺に血流を送る右心室の機能不全(右心不全)や静脈弁の機能不全があります。

静脈の流れが悪くなると、押し出された血液が毛細血管で詰まってしまい、余計に水分を血管外に出すことになります。

 

肝臓が悪くなっても、肝臓に入ってくる静脈の流れが悪くなりますので浮腫が起こります。

 

更に、もう一つ

炎症アレルギー反応などが起こって、毛細血管の血管透過性が亢進(血管の外に物質が出やすくなった状態)する場合です。

打撲した際などに、腫れるのはこのせいです。

②間質液(リンパ液)の回収が滞った場合

間質液の量の調整は、リンパ管の吸収によってなされています。

リンパ管も、末梢血管と同じように毛細リンパ管がリンパ液を吸い上げるような形でリンパ液を吸収しています。

 

毛細血管と異なる点は、リンパ管は盲状構造と言って、末端部分が行き止まりになっていることです。

毛細血管は、つながっていますので動脈側から来た血流が最終的には静脈側へと流れ込むようになっています。

 

リンパ管は、最終的には静脈と繋がっており、リンパ液は静脈に流れ込むようになっています。

流れ込む部分は、静脈角と言います。

 

このリンパの流れが、悪くなっても浮腫がおこります!

血管の物質交換について

血液は、おわかりの通り、主に心臓のポンプ作用によって全身に送り出されます。

そして

その送り出された血液が、末梢にある毛細血管に到達すると二酸化炭素、酸素、栄養分、老廃物、水分などの物質交換がなされます。

その物質交換における水分調節の機能に問題が生じた場合に浮腫となります!

 

毛細血管以外の血管は、物質交換はできません。

毛細血管の構造について

毛細血管と通常の血管では、構造が異なり

毛細血管では物質交換がやりやすいような構造となっています。

 

普通の血管(毛細血管以外の血管)は、三層構造(外膜・中膜・内膜)で、中膜には平滑筋も含まれていますが、

毛細血管は、内皮細胞だけで構成されており、平滑筋などはなく、物質交換が行いやすい構造となっています。

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