大殿筋、中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯について(起始・停止・作用・支配神経)

臨床上では、痛みを多く発生する筋がこれらの殿部の筋群です!

また、これらの筋の筋力低下は、股関節周辺の安定性が損なわれ、

スポーツパフォーマンスの低下につながります。

解剖学的にも非常に面白い構造をしています!

 

目次

殿筋群について

大殿筋、中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋は殿筋群に分類され、骨盤の後方で表層にあります。
主に股関節の伸展と外転に作用し小殿筋以外は皮下で触知できます。(動画リンクあります。)
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1.大殿筋
gluteus maximus

殿部の最も表層にある大きい筋.

 

起始 上部線維
・腸骨稜の後方
・腰背腱膜
・上後腸骨棘
仙骨の外側
尾骨の外側
下部線維
・腸骨翼の外面で後殿筋線の後方
・仙結節靱帯
・中殿筋の筋膜
停止 上部線維
大腿骨の大転子を被い
・腸脛靱帯の深層
下部線維
大腿骨
・殿筋粗面
作用 上部線維
股関節の外転,外旋
下部線維
股関節の伸展,外旋,内転
・骨盤後傾
髄節 L5,S1,2
神経 下殿神経

2.中殿筋※
gluteus medius

三角形の厚い筋で大殿筋と大腿筋膜張筋の間で触知.
起始 ・腸骨翼の外面(腸骨稜の下方で前および後殿筋線の間)
・腸骨稜の外唇
・殿筋筋膜
停止 ・大転子の外側
梨状筋としばしば癒合する)
作用 股関節
・外転(全体・中部)
・内旋(前部線維)
・外旋(後部線維)
髄節 L4,5,S1
神経 上殿神経

3.小殿筋※
gluteus minimus

三角形の筋で中殿筋に被われ触知は困難.
起始 ・腸骨翼の外面(前および下殿筋線の間)
停止 ・大転子の前外側
股関節の関節包
作用 股関節
・外転(随意収縮で関節包を引き,股関節への関節包の挟み込みを防ぐ)
・内旋(前部線維)
・外旋(後部線維)
髄節 L4,5,S1
神経 上殿神経

4.大腿筋膜張筋
tensor fasciae latae;TFL

中殿筋の前にある紡錘状の筋.
▲短縮はOber Test陽性となる.
起始 ・腸骨稜外唇の前方
上前腸骨棘ASISの外側面
・大腿筋膜の内面大腿骨近位部で腸脛靱帯※に移行し大腿の外側を下る.
停止 脛骨外側顆の前面
作用 股関節の屈曲,外転(,内旋)
膝関節の伸展
(,膝関節30°以上の屈曲位からは膝の屈曲)
・下腿の外旋
・骨盤前傾
髄節 L4,5,S1
神経 上殿神経

中殿筋と小殿筋の作用

▲中殿筋,小殿筋は片脚立位時に同側の骨盤を牽引し反対側への骨盤傾斜を防ぐ.

筋力低下ではトレンデレンブルグ徴候(動画リンク)Trendelenburg’s sign や立脚期に体幹を患側に傾けるデュシャンヌ歩行(動画リンク)Duchenne gaitが生じる.

 

※腸脛靱帯 iliotibial tract

大腿の筋全体を包む大腿筋膜(深筋膜)の外側部が厚く腱膜様になった部分.

上前腸骨棘と腸骨稜,一部は大殿筋(上部線維),大腿筋膜張筋の停止腱として起こり大腿の外側を下る.

脛骨の外側顆の前外側面(腸脛靱帯粗面)に付くほか下腿筋膜に放散する.

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