anatomy of Knee joint(膝関節の解剖)(関節、靱帯)

目次

膝関節の概要

膝関節は、脛骨大腿関節および膝蓋大腿関節が共通の関節包に包まれた関節で腓骨は関与しない.

正常な膝関節は生理的な外反を伴うため内側の安定化機構は強力になっています.

(動画リンクあります。・・・膝関節の解剖、靱帯、評価などがまとめてある動画です。

前方引き出しテスト、後方引き出しテスト、外反ストレステスト、内反ストレステストの動画も含まれています。

英語ですが、見る価値ありますよ!)

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脛骨大腿関節
Tibiofemoral joint;Femorotibial joints

 

大腿骨脛骨との蝶番関節(orラセン関節).

前額面で大腿骨脛骨の長軸のなす角度(膝外側角femorotibial angle FTA)は正常で約175°, O脚(▲内反膝)では180°を超える.

大腿骨頭中心と足関節の中心を結ぶミクリッツ線Miclicz Lineは正常では膝関節の中心,O脚(内反膝genu varum)では膝関節の内側,X脚(外反膝genu valgum)では外側を通る.

 

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膝蓋大腿関節
patellofemoral joint(PF関節)

大腿骨膝蓋骨との鞍関節(⇒膝蓋骨のページを参照)

 

膝関節の関節包(joint cavity)

側方では内側上顆と外側上顆のやや下方,大腿骨の前面と後面では関節軟骨縁の1~2㎝上部から起こり脛骨関節面の周縁に付く(腓骨頭は関節包の外にある).

関節包に包まれた膝関節の関節腔(関節の容積)は人体で最も大きい.

関節包の内層(滑膜)は後上部から十字靱帯の上および脛骨にまでたどることができる.

滑膜は関節半月に付着するものと関節腔の内腔に向かってヒダをつくるものがある.

 

膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat-pad)

脛骨膝蓋骨および膝蓋靱帯の間に関節腔に突出した脂肪の塊(かたまり)があり,膝関節の運動時これが骨の間に入り死腔(しくう)を埋める.

siboutai

▲脂肪体の炎症で膝に痛みが生じる(Hoffa’s diseaseとして知られる).

 

翼状ヒダ(alar folds of intrapatellar synovial fold)

膝蓋下脂肪体の表面で膝蓋骨の両側縁から広がった滑膜性の2つのヒダ.

 

膝蓋下滑膜ヒダ(infrapatellar synovial fold)

膝蓋下脂肪体の中央からは前十字靱帯へと関節腔を貫く1本の滑膜性の索(さく).

これは関節包の内層(滑膜)が関節腔内に伸びたもので大腿骨の顆間窩から起こり膝蓋骨尖に達した後,十字靱帯およびその間の組織を被って垂直に下り関節腔の下壁に行き関節腔を左右に分ける(関節腔が2つに分かれていたことを示す遺残).

 

関節半月

関節面の接触面積を広げ関節の適合性を高める線維軟骨fibrous cartilage.

内側および外側半月(板)の2つが脛骨の上面にある.断面は辺縁部(関節の外周部)が高い三角柱状を呈する.

外面は関節包と結合する.

上面は大腿骨の内側顆と外側顆,下面は脛骨に接触する.

半月の前面は膝横靱帯transverse ligament of kneeで結合する(動画リンクあります。).

 

外側半月(板) Lateral Meniscus(LM)

環状(O字形)で内側半月(板)よりもやや小さく,前端は脛骨の前顆間区(前十字靱帯の付着部と一部混ざりながら),後端は後顆間区と一部が顆間隆起(内側,外側顆間結節)に付き22)前端と後端は接近している.

外縁の一部(後部,外側部)は関節包と結合し膝の屈曲の際に膝窩筋(一部,関節包に付く)に引かれ後方移動する.

外側側副靱帯とは結合しないため内側半月(板)よりも移動量は大きく,損傷されにくい.

 

後半月大腿靱帯(Wrisberg靱帯)

外側半月(板)の後端から起こる細い関節内靱帯.

後十字靱帯の後面に沿い大腿骨内側顆の外側面に付く.

 

内側半月(板) Medial Meniscus(MM)

C字形で大きく幅広(特に後部が広い)で外側半月(板)の端(脛骨への付着部)を前後からはさみ,前端は前顆間区の前方(ACLの付着部の前方),後端は後顆間区の内側前方(PCLの付着部の前)に付き前端と後端は離れている.

外縁全体が関節包と強く結合し内側側副靱帯とも固着するため,内側半月(板)は動きにくく損傷され易い.

▲内側や外側の半月板損傷はMcMurrayテストAppleyテストで鑑別.

 

前十字靱帯(ACL:Anterior Cruciate Ligament)

脛骨の前顆間区(anterior intercondylar area of tibia)の内側部から大腿骨外側顆の顆間窩(intercondylar fossa)後内側に付く関節包内靱帯で線維膜と滑膜の間にある.

脛骨の前方への滑り出し,下腿の内旋を制限する.

また,膝の伸展および過伸展を一部制限する.

▲損傷はLachmanテスト,Nテスト(jerkテスト),前方引き出しテスト(anterior drawer test)で鑑別.

 

後十字靱帯(PCL:Posterior Cruciate Ligament)

脛骨の後顆間区(posterior intercondylar area of tibia)の外側部から大腿骨内側顆の顆間窩(intercondylar fossa)前内側に付く関節包内靱帯で線維膜と滑膜の間にある.

前十字靱帯より短く強い.

脛骨の後方への滑り出しを制限する.

▲損傷は脛骨の後方落ち込み(posterior sagging)テスト,後方引き出しテスト(posterior drawer test)で鑑別.

 

 

外側側副靱帯(LCL:Lateral Collateral Ligament)

最も独立性の高い靱帯.

円柱状(索状)で大腿骨外側上顆の後方から起こり腓骨頭に付く.

この靱帯と関節包の間を膝窩筋脛骨神経)腱,大腿二頭筋(坐骨神経)腱が通る.

下腿外旋や膝伸展で緊張し膝内反を制限する.

▲損傷は膝の内反ストレステスト(varus stress test)で鑑別.

 

前十字靱帯も後十字靱帯も関節包の中にありますが、厳密には関節包を形成する外側にある線維膜と内側にある滑膜の間にあります。(※滑膜の外にあることになります。)

 

 

内側側副靱帯(MCL:Medial Collateral Ligament)

大腿骨内側上顆の後方から起こり脛骨の内側縁と内側面に付く三角形,扁平で幅広の靱帯.

一部は関節包の外層(線維膜)へ放散し内側半月(板)に固着.

膝外反を制限し下腿外旋や膝伸展で緊張する.

▲損傷は膝の外反ストレステスト(valgus stress test)で鑑別.

 

 

内側膝蓋支帯(medial patellar retinaculum)

大腿四頭筋(大腿神経)の内側(内側広筋の線維)に続く腱膜が膜状に広がる強い縦走線維束.

膝蓋靱帯の内側を下降し内側側副靱帯の前で脛骨内側顆に付く.

膝蓋骨の側方安定性と関節包の保護,内側広筋の収縮を介して下腿の伸展・内旋に作用する.

 

 

外側膝蓋支帯(lateral patellar retinaculum)

大腿四頭筋(大腿神経)の外側(外側広筋の線維と大腿直筋の少数の線維)に続く腱膜が膜状に広がる強い縦走線維束.

前方部分は腸脛靱帯の線維と混じりながら脛骨外側顆下縁に付く.

膝蓋骨の側方安定性と関節包の保護,外側広筋(大腿神経)の収縮を介して下腿の伸展・外旋に作用する.

 

 

膝蓋靱帯(patellar ligament)

膝蓋骨脛骨粗面間の厚い強靱な線維束(大腿四頭筋腱).

膝蓋腱反射に利用.

 

斜膝窩靱帯(oblique popliteal ligament)

膝の内側にある半膜様筋(坐骨神経)腱の下端から放散する8~15mm幅の靱帯.

腓腹筋脛骨神経)外側頭の起始に向って膝関節包の後方を斜め上外側へ向かい大腿骨の外側顆後面に付き関節包を後方から補強.

syasikka

 

弓状膝窩靱帯(arcuate popliteal ligament)

腓骨頭から膝窩筋脛骨神経)を越え大腿骨の外側上顆および脛骨の顆間窩に付く靱帯.

関節包を後外側から補強.

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膝関節の動きと靱帯の緊張

  LCL MCL ACL PCL
伸展
屈曲
外旋
内旋 +,- +,-

*屈曲の程度によって緊張の度合いが変わる.

( +:緊張,-:弛緩 )           Lanz et al. 1959

外反および内反制限因子

 

膝完全伸展位での外反制限因子※

内側側副靱帯(MCL)
関節包(後内側:半膜様筋を含む),ACLおよびPCL,外側半月(板),内側膝蓋支帯,鵞足部の腱,腓腹筋(内側頭)

膝完全伸展位での内反制限因子※

外側側副靱帯(LCL)
関節包(後外側),膝窩筋腱,弓状膝窩靱帯,

腸脛靱帯,大腿二頭筋腱,ACLおよびPCL,内側半月(板),腓腹筋(外側頭)

※Neumannによる

終末強制回旋運動
Screw home movement

膝関節最終伸展時に約10°脛骨(膝関節)の外旋または大腿骨股関節)の内旋が生じる現象.

坐位での膝伸展(open kinetic chain:OKC開放運動連鎖)では最終域での脛骨の外旋,スクワットでの膝伸展(closed kinetic chain:CKC閉鎖運動連鎖)では大腿骨の内旋が生じる.

膝関節の伸展最終域では関節の遊び(joint play)が少なくなり下腿外旋は自動的に生じる.

Screw home movement
に関係する因子

(1) 大腿骨内側顆の傾きが前内側を向くこと
(2) 膝伸展時にACLが緊張すること
(3) 膝の内側側副靱帯が内側半月(板)に癒合し,内側半月(板)の可動性が制限される(大腿骨内側顆の可動性が小さい)
(4) 随意的な膝伸展時に大腿四頭筋の外側方向への牽引が生じること

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